屋根工事について
一般に屋根工事と聞くと屋根屋さん、瓦屋さんを思い浮かべるかと思いますが、建築板金業者も屋根工事を施工しています。特に工場や倉庫といった大きな建築物の屋根には金属を加工した折板系の屋根材が使われます。
また一般住宅や高層住宅などには軽量で建物への荷重負担が少なく、風や地震に強い構造の金属瓦や瓦棒葺屋根などが利用されています。
最近では中越地震や中越沖地震の影響により瓦屋根の倒壊が相次ぎ金属屋根がより多く利用されるようになってきました。
金属屋根は近年増えてきたデザイナーズ住宅のような多彩なデザインや勾配のない屋根に最も適しています。
屋根と板金と雨漏り
瓦屋根のお宅でも屋根の谷部分には昔から板金(ブリキや銅板)が使われてきました。谷部分ということもあり雨水が集まりどうしても腐食しやすく雨漏りの原因となりやすい部分でもあります。
雨漏りは放っておくと内部から建物を破壊していきますので早め早めの補修が必要です。天井におかしなシミなどが見受けられたら一度点検を受けることをお勧めいたします。
雨漏りに関する特設ページを開設いたしましたのでこちらもご覧ください。
(雨漏り特設ページ)
近年ではさびに強いステンレス板金で色が付いたカラーステンレスなどもありますので建物の外観にマッチした物を選んでいただけます。
屋根の種類と特徴
折板(せっぱん)
(主な用途)
工場、倉庫、体育館などの大型屋根から店舗などの中型屋根
(特徴)
大型・長尺化を目的に断面の構造を設計された建材です。そのため母屋間隔を長く取ることができ、工場・倉庫といった屋根面積の広い建築物に適しています。
金属瓦(きんぞくがわら)
(主な用途)
一般住宅、商店、高層住宅や神社・寺院など
(特徴)
和瓦のデザインを取り入れて金属を成型した建材です。重量が通常の瓦と比べて約1/10と軽いため、柱、梁などの過重負担を軽減し地震災害にはより安全です。
従来の瓦屋根にふき替え出来るのでリフォーム用に適しています。
縦葺(たてびき)
(主な用途)
一般住宅、体育館、工場、車庫などの中小規模の屋根
(特徴)
心木(しんき)なし瓦棒(かわらぼう)、立平葺瓦棒(たてひらびきかわらぼう)など形状により色々なタイプがあります。
溝板と通吊子、又は部分吊子を取り付けた水密性の高い工法で母屋さえあればあらゆる屋根に簡単に施工可能です。
主に勾配のない(少ない)屋根に最も適しています。
最近では立平ロックといわれる防水性に優れ、施工が容易で工期が短縮できる製品が開発され従来の瓦棒葺に代わり多く使われるようになってきています。
◆立平ロック(たてひらろっく)
見た目も美しく細部まで綺麗に加工されています。現在最も使われている金属製屋根材。
接合部に止水材を注入しているため5/100勾配(1mにつき5cm下がる斜度)という緩い傾斜の屋根まで対応しています。
【1-1】立平ロック全体写真(アングルタイプ雪止め付)
【1-2】立平ロックの軒先部分にはキャップが付き綺麗に仕上がります。
【1-3】立平ロックの軒先部分キャップ状態(正面から)
【1-4】立平ロック用雪止め金具(パーフェクトロックタイプ)
【1-5】ビス止めによる取り付け風景
【1-6】ビス止めによる取り付け部分
【1-7】立平ロックのキャップの収まりの様子(上から押し込むことによりしっかりロックされる)
横葺(よこびき)
(主な用途)
一般住宅、事務所、レストラン、美術館など
(特徴)
軒先から棟方向に階段状に下地に止めつける工法で、段葺きの水平ラインが高級感をかもしだし外観的にデザインを重視する屋根に適しています。
締結部はエアーポケットの多い構造で毛細管現象をカットし、雨水や雪解け水の浸入を防止します。
やや勾配の強い屋根への施工が理想的です。
従来の瓦屋根と比べ軽量で価格も安くすむので瓦屋根からのふき替えリフォーム用に適しています。
右の写真は雨で多少見にくいですが、屋根の幅いっぱいの一枚板を組み合わせて取り付けた長尺の横葺き施工の写真です。
(写真クリックで大きな写真を表示します)
【2-1】横葺き屋根の張り付け風景
【2-2】横葺き用の雪止め金具(S型金具)の取り付けの様子
釘は必ず垂木(タルキ)に3本止めをする
【2-3】S型金具の収まりの様子
ファイバーグラスシングル
(主な用途)
一般住宅、デザイン住宅など
(特徴)
アスファルト基材とグラスファイバーから作られた軽量屋根材です。
瓦の約1/4、化粧スレートの約1/2と軽量なため、建物への負担が少なく耐震性に優れています。
また、柔らかく割れにくいため、踏み歩きや落下物などにより割れる心配もなく、弾性アスファルト基材が衝撃を吸収するので雨音の軽減にも有効です。
【下左】ファイバーグラスシングル単体。
【下中】釘止めした個所を覆うように上へ上へ重ねて張り付けていきます。
【下右】雪止め金具の収まりの様子。
銅板屋根(横葺):一文字葺き
【3-1】銅板屋根のはり始め。屋根板に直接釘を打つのではなく押さえ板(吊子)を使い釘止めしていきます。
【3-2】短い銅板を重ね合わせて屋根を覆っていきます。
【3-3】コーナー屋根の葺きあがり。
【3-4】ひさし屋根の葺きあがり。
銅板屋根(横葺):菱葺(別名:鱗張り)
【4-1】正方形に加工した銅板を写真のように斜めに重ねて葺いていきます。
【4-2】葺き始めを少し引いた見た写真です。
【4-3】一通り屋根の部分を葺き終わった状態です。作業中に雨が降ったため銅板が曇ってしまいました。
時間がたつと曇り(酸化)がすすみ落ち着いた趣のある色に変わっていきます。
【4-4】屋根のダキの部分のアップ。雨が集まる部分なので雨水が入り込まないように加工してあります。
【4-5】軒先の加工状態写真。
【4-6】垂木鼻:垂木一本一本に写真のように銅板を加工したものを取り付けています。
【4-7】雨どい受け金具、雨どい関連も同様の銅板カラーのものを使用しています。
【4-8】集水マスから縦どい部分はデザイン性のある物を使用。
アスファルトルーフィング施工風景
アスファルトルーフィングというシートを重ねるように敷いて固定し、屋根の下地として貼って行きます。
このシートは紙や布にアスファルトをしみこませて加工したもので防水・防湿性に優れています。
雪止めの取り付け
屋根の形状や材質、風土に合わせて多様な種類・形状の中から最適なものを選んで設置できます。
◆瓦棒用アングルタイプ雪止め金具の取り付けの様子
【5-1】取り付ける前に大体の位置に合わせて置いた留め金具。
【5-2】水引糸にて正確に位置決めをして留め金具を固定していきます。
【5-3】留め金具にアングルを設置し固定します。
【5-4】取り付けが終わった雪止めの全景。
◆折板屋根用雪止め、谷用のバレーガード設置風景
棟換気システム「リッヂベンツ」で快適住空間を
リッヂベンツという棟換気システムを用いて、屋根裏にこもりがちな暑い空気や湿気を効率よく換気できる設備です。
詳しくはメーカー(日本住環境株式会社様)の製品解説ページをご覧ください。