雨漏りは早めの対応が大事
右の写真は長い間雨水が内部にしみ込み、木材が完全に腐って無くなってしまった状態です。
このように雨漏りは放置しておくと家屋内部に重大なダメージを与えてしまいますので早めの対応が必要です。
雨漏りの主な原因
雨漏りには大きく分けて次の3つの原因に分けられます。
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【主な原因】
- 施工業者の施工ミスによるもの
- 長年の経年劣化によるもの。
- 結露によるもの。
以下にそれぞれの特徴をご説明します。
業者の施工ミスによる雨漏り
同業の者としてあまり信じたくないのですが、この雨漏りのケースが一番多いです。
我が職種は大切な家を雨から守る大切な仕事なのですが、最近は「葺いてあればいい」「張ってあればいい」といった施工が増えているせいか、雨漏り修理のご依頼を受けるお宅が築年数の少ない3年から5年位という場合が多いです。
雨漏りに対して理解して施工されている人が少なくなったように感じます。
そういった業者に雨が漏ったから直してくれと言ってもまず直りません。
雨が入りこみそうな個所にコーキング材を塗って表面上の処置で終了です。コーキング材は劣化しやすいものですし、雨漏りの不具合原因の根本が解消されていませんのでしばらくすると再び雨漏りが発生してしまいます。
そういった業者さんでは何度来てもらってもその繰り返しです。
そういったお宅を数十件みて修繕してきました。
わが社では内部の雨漏り状況を確認し、外部の原因個所を特定した後、それぞれにあった修繕方法を検討して表面的ではなく根本的な雨漏り修理を行っております。
長年の経年劣化によるもの
知っ得情報ページの「住まいのセルフチェックコーナー」でもご紹介していますが、板金・外壁・屋根材どれでもどうしても経年による劣化が起こります。
特に新潟は梅雨の雨、真夏の猛暑、真冬の凍結や風雪など、日本の中でも四季がはっきりとした気候の地域です。
こういった気象条件が厳しい地域では、屋根、外壁は雨・風・雪や日光にさらされてかなりのダメージを受けています。建物は自家用車のように車庫があるわけでもなく、洗車やワックスもしてもらえません。
定期的なチェックやメンテナンスをしてあげてください。
初期の段階であれば雨漏りまで進まずに対処することも可能です。
結露による雨漏り
結露に関しては住宅環境によるものが大きいと思われます。
昔の家のようにどこからでも風が入り込める建物であれば結露はそうそう発生しないのですが、近年の住宅は断熱効果を高めるために建物の内部と外部を完全に遮断した高気密、高断熱というハイスペックで風の流れがない建築工法が主流になっています。
新潟のように湿気の多い地域は様々な対処がされていますが、それでも洗濯物の部屋干しや石油ストーブによる水蒸気の発生など様々な要素により結露が発生します。
結露による雨漏りの判断は雨が降っていないのに漏ってくる。時期は10月頃から4月頃が多いようです。
結露が酷くなるとサッシを留めているビスや釘等を伝って建物内壁に水が浸入し、雨漏りを発生させる場合があります。
結露に限った話ではないのですが、壁内の雨漏りの場合は雨染みが表に出にくいことがあり、この場合気づかない間に壁の内側にカビが発生し、気づいた頃には進行していて木材が腐ってボロボロになっていたということもあります。
雨漏り修繕作業一例
このお宅はベランダの外壁の上に後付けで手すりを増設したのですが、その手すりを取り付けたビスからベランダの壁内に雨漏りが発生していました。
【1-1】作業前のベランダの様子。
【1-2】雨漏りの原因となった手すりの取り付け部分のアップ。
【1-3】手すりをすべて外し、該当部分の外壁を外した状態。防水シートにカビが発生しています。
【1-4】防水シートをめくってみると垂木の部分まで雨漏りした個所が黒くカビてかなり傷んでいます。
【1-5】内側の外壁をすべて撤去して雨漏りの範囲を確認。
【1-6】全ての垂木がびっしょりと濡れて、いたるところにカビが見受けられます。
【1-7】手前や奥の防水シートをご覧いただくとわかるようにかなりカビが発生しています。
また、撤去した外壁も脆くなってボロボロになる状態でした。
【1-8】新しい防水シートに張り替えて、胴打ちを打った状態。
この上に外壁を貼り付けます。これにより外壁と防水シートの間に空気の層が確保され、
湿気によるカビの発生が抑えられます。
雨漏り症例
【症例その1】
下の写真はあるお宅の屋根の接合部からの雨漏りの症例です。
屋根の構造上どうしても雨漏りがしやすくなる形状で、コーキング材による接合部の目地埋めのみの施工では経年劣化により雨水の浸入を防ぎきることはできませんでした。
屋根裏を見ると雨水によるシミがはっきりと見受けられます。
【症例その2】
次の写真はあるお宅の屋根瓦とその下に敷かれた銅板屋根の接触部分からの雨漏りの症例です。
- 写真3-1
- 屋根瓦から降りてきた雨水は常に瓦の凹みをながれ、さらに瓦屋根と下の銅板の接触部分には水気が残りやすいため酸化による腐食が発生しやすくなります。
丸印が付いていない他の瓦の下にも同様な腐食がいくつも見られました。 - 写真3-2
- アップで見てみるとAの部分にはかなり大きな穴が見受けられます。また、折り返し部分のBにも小さな穴が見られます。
- 写真3-3
- 瓦を外して確認するとAの穴がはっきりと確認できます。
その他、瓦の内部で普段雨水が当たるはずもない部分でも湿気によるとみられる酸化が起きているのが見られます。
【症例その3】
次の写真は棟が重なる場所での雨漏りの症例です。
- 写真4-1
- この写真の瓦の様子を見るとわかるように雨が集まってくる構造になっています。
こういった場所には雨がスムーズに流れるように板金にて樋状の細工をしてあるのですが、構造上周囲の雨が集まるため金属の腐食が起こりやすくなります。 - 写真4-2
- アップで見てみると写真中央部に大きな穴があいているのが見受けられます。
- 写真4-3
- 周囲の瓦を外して確認してみると、同様の腐食が何か所も見受けられました。
- 写真4-4
- このお宅は銅板にて細工してあったのですが、その銅板をはずしてみると下の地材は濡れており、ここから雨漏りやひいては材木の腐敗へとつながってしまいます。
【症例その4】
次の写真は棟が重なる場所での雨漏りの症例その2です。
- 写真5-1
- 先の症例と同じように雨が集まってくる構造になっています。
こういった場所に構造上周囲の雨が集まるようになっており、同時にゴミも集まりやすくなります。
向かって左側の三角の瓦が数枚動いた形跡が見受けられると思います。 - 写真5-2
- 動いた形跡のある瓦をはずしてみた画像です。
そこには落ち葉がたくさん集まって詰まっていました。 - 写真5-3
- 周囲の瓦もはずして確認すると雨漏りの形跡も見受けられます。
どうやら詰まった落ち葉が原因で雨水が流れ落ちずにあふれてしまい雨漏りを引き起こしていたのです。 - 写真5-4
- 他にも同様な症状が何か所かで見受けられました。
- 写真5-5
- 瓦をはずして落ち葉などのゴミを撤去しました。
- 写真5-6
- 瓦を元通りに敷きなおして作業完了です。
【症例その5】
次の写真は屋根が上下に二段に分かれる場所での雨漏りの症例です。
- 写真6-1
- 重なり部分から雨が浸入していました。
- 写真6-2
- 原因個所の周りをもう少し開いてみたところです。
- 写真6-3
- 雨水が浸入しないように施工しなおして修繕完了です。
【症例その6】
次の写真は外壁下部にある水切りの施工が不十分だった場所での雨漏りの症例です。
- 写真7-1
- 水切りの端末処理が不十分なためそこから雨が浸入していました。
- 写真7-2
- 実際に雨が降ったあとの原因個所の写真です。
柱がびっしょりと濡れており、当然内部にも浸水しています。 - 写真7-3
- 雨水が浸入しないように水切り自体を施工しなおして修繕完了です。